数ある設備の中でもダントツの人気を誇る『食洗機』。
その食洗機導入に悩んだとある夫婦の素敵な考え方を共有したいと思う。
食洗機を入れるか悩んだ話。
大人気の設備なので、基本的に食洗機をキッチンの「標準仕様」としているメーカーや工務店が多い。
大半のお客様は迷うことなく食洗機を導入される。
だが、私のであったこのご夫婦は珍しく悩んでいるのだ。
悩む理由が知りたかったので、打ち合わせの手を止めて、じっくり話を聞いてみることにした。
導入を迷ったポイント
それは「コストと時短、どちらを優先するか?」というのが大きなポイントらしい。
今までは食器は全て手洗いして、拭き上げもして、食器棚に収納するまでを食後のルーティーンとされていたそう。
それに対して不便さを感じたことはあまりないらしい。
一定のコストをかけることで時短に繋がると言われても、当人にはあまりピンと来ていないらしい。 私としてはとにかく公開してほしくなかったので、改めてメリット・デメリットを整理してお伝えしたうえで、ご夫婦の判断を尊重することにした。
食洗機のメリットとデメリット

メリット
- 家事の負担を軽減できる
余洗いが必要な場合でも、1度の機会に対してかかる時間は5分程度。(筆者は使用経験がない)それに対して手洗いは20分程度。差し引き15分程度の時短になる。
ついでに手荒れのリスクも軽減できちゃう。 - 水道代・ガス代の節約
食洗機は少ない水で効率的に洗うため、手洗いよりも水の量が抑えられるし、温水洗浄機能を使えばガス代の節約にもつながる。 - 衛生的
60℃以上の高温で洗浄することで除菌効果が期待できるし、乾燥機能を使うことでカビや菌の繁殖を防げて衛生的!
デメリット
- やっぱり導入コスト
ビルトイン型の食洗機だと、工事費込みで10万~20万程度。 人気のフルオープン型を選ぶと、さらにコストがかさむ。 - スペースをとる
ビルトイン型だとしても、キッチンの貴重な収納スペースを割いてしまうのがネックになる方もいる。 - 食器をセットする手間がある
洗う前に大きな汚れを軽く落とす必要があるし、食器をうまく配置しないと汚れが残り、2度手間になることも・・・。
そんな夫婦の背中を押した一言
ここまで話しても「うーん。。」と頭を抱えるばかりで、一向に打合せが進まないので、私たちの家事のスタイルを話してみることにした。
「時短だなんだ言いますけど、うちは夫婦で二人でわちゃわちゃ喋りながら皿洗いから拭き上げまで済ませちゃいますけどね~、その時間が結構好きだったりするんですよね~。」
その話をすると、まるで霧が晴れたような表情で「やっぱり食洗機いらないので、減額してもらえませんか!?」とのこと。
打合せも無事再開できて、我ながらナイスな発言だったと鼻を膨らませたのであった。
豊かさと暮らしの価値観
この一件のあと、改めて「豊かさ」とはなんだろう?と考えた。
世の中はどんどん便利になっていくし、便利グッズや時短グッズの紹介動画なんかはSNSでは大人気コンテンツだ。
それを見ると、あれも欲しいこれも欲しいとなってしまいがちだし、逆にそれがないと不安に感じてしまうのかもしれない。
時短できる術(食洗機)を持っているのが豊かなのか、食器を洗う時間を楽しむ余裕があることが豊かなのか。
それは人それぞれ。
そのご夫婦は食洗機を導入しない選択をした。
それは便利を手放したのではなく、大切な時間を選んだのだ。
つまり、豊かさは『何を持っているか』ではなく、『どれだけ満たされていると感じるか』。そう改めて実感した。
家づくりのさなか、いろんな選択肢に悩むことが多いとは思うけど、その度にこの体験を思い出したいと思った。
とはいえ・・・ボッシュのあのデザイン、やっぱりかっこいい。